はじめに




 紀伊半島東南部に位置する和歌山県那智勝浦町は、落差日本一の那智の滝・水揚げ高日本一の紀州生マグロ・勝浦温泉等を中心として、観光と漁業で発展してきました。

 また、5年前には世界遺産登録され、熊野那智大社や那智山青岸渡寺・熊野古道等がさらに注目を集めるようになりました。

 しかし一方では、観光客の移動手段が鉄道からバスや自家用車へと変化するにつれて、紀伊勝浦駅を中心とした市街地の空洞化が年々顕著になってきております。

 また、かつては那智勝浦町の『銀座通り』と呼ばれ賑わっていた『脇入』『仲ノ町』地区(通称『脇仲地区』)も、魚市場や役所・銀行など町の中枢機能の移転と共に人の流れが変わり、昭和40年代には人通りの少ないひっそりとした地区となってしまいました。

 この地区は、二軒の大型ホテルの送迎船と島めぐり観光船が停泊する観光桟橋のすぐ近くにあり、そこに年間約50万人もの観光客が歩いていながら、残念ながらほとんどの観光客は50m奥にある昭和レトロ感に溢れる脇仲地区の町並みや文化に触れることもなく、そのまま観光バスの待つバスターミナルへと移動してしまいまっているのが現状です。

 私たちは、なんとかしてこの通りを観光客に歩いていただき、漁業のまちならではの町並みや文化に、そして地元住民にふれ合っていただく事を通じて、この脇仲通りに往時の賑わいを取り戻し、まちの活性化につなげようと取り組んでいます。 そんな中、かねてから熱心なサポートをしてくださっている県の職員から、この『半島らしい暮らし・産業創生調査』の情報を得る事ができました。


 私たちはこの機会に、地域資源を活用した産業の活性化に取り組まれている全国各地の先進地について学び、そして聡明才気なアドバイザーの方々から様々な指導を仰ぐ事で、住民が主体となった継続性のある地域づくりの推進に弾みを付けたく、この事業に応募しました。


◆調査成果のまとめ  今回の調査事業を通じて、私たちが自立的に地域づくりを進めていく上で最も重要な地域住民の意識改革が生まれ、世代の枠を超えたコミュニティが充実。また、地域の自然や歴史・文化・人・情報を知る事から、埋もれていた地域資源を現代に魅力化させ活用する事による地域の活性化が方向付けられました。

 また、全国各地で地域づくりに活躍されている方々や学識経験者との人的交流が得られた事も、今後の活動に活かす事のできる大変貴重な成果です。



◆調査の概要 漁業のまち那智勝浦町の脇仲地区は、かつて勝浦の『銀座通り』と呼ばれるほどの賑わいを見せ、昭和30年代まで町の政治・経済の中枢を担っていました。しかし、時代と共に往時の賑わいはなくなり、最近ではコミュニティの崩壊までをも危惧されるようになってきました。

 そこで私たちは、脇仲地区の地域資源〜歴史・文化とそこに住む人〜を最大限に活かす事を考え、まちに賑わいを取り戻しコミュニティの再生につなげながら、脇仲地区独特の文化や住民との交流を通じて『漁業のまち勝浦』の魅力を伝え、活性化につなげていく事を目的に、地区住民が主体となった組織『よみがえれ脇仲倶楽部』を平成19年10月に結成。

 地元の漁協や観光協会・旅館組合・商工会・民間企業・メディア・県・町・大学等との協働により、現在ビン玉行灯や縄編み体験・まちなか資料館・まちなかコンサート・まちなか写真展等の活動に取り組んでいます。


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