1.漁具『ビン玉』を活用した、漁業のまちの雰囲気づくり


 『ビン玉』はかつて、マグロの延縄漁で使われたガラス製の浮き球で、漁師と共に海の上で活躍し、古くから漁業のまちを支えてきた重要な漁具です。それが時代と共に姿を変え、今ではプラスチック製のものが主流となりました。私たちは、そのビン玉を陸の上で再利用する事を考えました。

 まず、この地域に活気を取り戻す趣旨に賛同していただける方々に倶楽部会員への入会を呼びかけ、現在までに134件(個人会員129件・法人会員5件)の方々にご加入いただきました。

 皆さんにはご希望の大きさのビン玉を1個ずつ差し上げ、それぞれ家や店の軒先にビン玉を吊していただき、地域を挙げて漁師町らしい風情づくりに取り組んでいます。また、希望された方のビン玉に穴を開け、それにローソクやLEDで灯りを灯し、毎週土曜日や各種行事の際には地域の皆さんの協力を得ながら、ビン玉行灯やライトアップに取り組んでいます。

延縄漁ビン球その1

ビン球その2ビン球その3

 スタートの時点では、国内でもほとんど製造されなくなったビン玉をどれだけ集められるかが、大きな課題でした。そこで私たちは、新聞や漁協・町の広報紙を通じてビン玉収集の協力を呼びかけたところ、町内外から予想以上に多数のビン玉寄贈の申し出があり、メンバーはみな感激しました。

 「昔はもっとあったんやで。でも、もうほとんど捨ててしまったわ」「このビン玉をまちのために使ってくれるんなら、ワシらも嬉しいよ」等、元漁師や廻船問屋の方々の昔話も聴きながら、トラックで回収してまいりました。そうして現在までに約650個ものビン玉が収集。あらためてこの地方が、古くから漁業との深い関わりがある事を実感すると同時に、今がこのビン玉を後世に残すラストチャンスなのかもしれない事を感じられました。

 また、私たちの活動を知った宮城県の気仙沼からは、「私たちの祖先は熊野の漁師からカツオ漁法を教わり、漁業のまちとして発展してまいりました。そのご恩返しになれば」と、5つのビン玉が送られてきました。海、そして漁業の交流が取り持った『縁』が330年以上もの時を経て、ここに新たな『つながり』が生まれたのです。私たちはあらためて、海と先人たちが残してくれた偉大な功績に感謝しました。

 ビン玉の穴開け方法について、地元のガラス店やガラス職人・道具店・県工業技術センターなど様々な専門家に相談し、また先進地視察もしてまいりましたが、なかなか明快な方法は得られませんでした。しかし、私たちは試行錯誤の結果、穴を開ける道具として円柱型のダイヤモンドカッターにたどり着き、一気にビン玉通りの誕生に弾みがつきました。今では、私たちのメンバーが独自に制作した『ろうそく式』『100V電源式LED』『乾電池式LED』と、3つタイプのビン玉行灯を商品化するにまで至りました。

穴あけその1穴あけその2

穴あけその3穴の開いたビン球

LEDライトLEDライト2

 集まってくるビン玉には縄で編んだ網が被されており、古い網は切り取り、新しいものと取り替える必要があります。私たちは、その縄編み作業を地元の元漁師に教わって編んでみたところ、その作業がとても新鮮で楽しい事に気付きました。これが『ビン玉縄編み体験』の誕生です。

 このワークショップを通じて、地元の子どもたちには地域の漁業文化を継承し、また観光客には漁師町ならではの体験をしてもらい、勝浦らしいお土産としてそのビン玉を持ち帰っていただこうというアイデアが生まれました。現在では、那智勝浦の代表的な体験観光に育ちつつあります。

ビン球縄編み体験1ビン球縄編み体験2

2.空き店舗を活用した、まちの歴史・文化を伝える交流施設『入船館』の整備


 かつて八百屋だった空き店舗を借り受けて、漁具や大漁旗・大正時代から昭和30年代頃までの懐かしい写真等を展示。ここを「入船館」と命名し、漁業の町の歴史や文化を紹介したり、元漁師の指導によるビン玉の縄編み体験ができる(予約制)等、地域住民と観光客の交流の場ともなっています。

 ここには特定の管理人等は置かず、地域住民のボランティアにより毎日オープンしています。また、脇仲倶楽部の会議もここで開く等、私たちの活動拠点ともなっています。

入船館1入船館2

3.おもてなしイベントの開催



   ★ まちなかコンサート

 地球温暖化を考える環境省の『七夕ライトダウンキャンペーン』に合わせて、私たち脇仲倶楽部の良きサポーターで県職員でもある全国屈指のハーモニカ奏者による七夕コンサートをまちなかで開催。夕暮れ時ののんびりとした脇仲通りにビン玉行灯の幻想的な光の輪が広がり、集まった約100人の地元住民や観光客は柔らかな音と光に包まれ、そこに往時の賑わいを感じさせたひとときでした。

 その後も8月は男声合唱カルテットを、10月にはアコースティックギターデュオのコンサートを開催。また12月にはクリスマスコンサートを開き、地元小学生によるハンドベル演奏と地元コーラスグループの混声合唱によるクリスマスソングが、多くの観客の心を魅了しました。また、会場に設けた脇仲倶楽部特製のビン玉クリスマスツリーも大好評でした。

 また、このコンサートを見た地元のちびっ子ダンスグループから、「私たちもまちなかイベントに出演させてください」という嬉しい依頼もきており、おもてなしイベントの地域への浸透ぶりがうかがえます。音響・照明等は全て私たちがやり、出演者もなるべく地域の方々に出てもらっているこのまちなかコンサート。今後も季節毎の開催を展開してまいりたいと思います。

ハーモニカ演奏ギター演奏

アカペラクリスマスコンサート1

クリスマスコンサート2クリスマスコンサート3

   ★ まちなかライトアップ

 昭和レトロのまち歩きを楽しんでもらおうと、毎週土曜日の夜やお盆・年末年始・花火大会・クリスマス等の時期に合わせて、ビン玉行灯によるまちなかライトアップを実施。夕暮れともなると、家々のビン玉にはローソクの柔らかな灯りが灯り始め、脇仲通りはビン玉通りとなります。

 灯りの灯ったまちなみの美しさと共に、ローソクに灯りを灯す皆さんの街を愛する気持ちが何よりも美しく、まるでビン玉の柔らかな光が地域の人々を優しく照らし、みんなの心にも灯りを灯してくれたようで、まさにこのプロジェクトを起ちあげた喜びを実感する瞬間です。

ビン球に火入れビン球灯りの道

ビン球の灯りビン球の灯り2

   ★ まちなか写真展

 故郷を離れて暮らしている人たちが帰省する8月のお盆の時期に合わせて、脇仲通り沿いの町家の格子戸をお借りして、『まちなか写真展〜懐かしい昭和の時代〜』を開催。地域の方からお借りした、大正時代から昭和30年代頃の懐かしい貴重な写真約40点を拡大してパネルに収めて5日間展示しました。

 年配の住民や帰省客らが足を止め、写真を指さしながら「昔はこの前の海で、よく泳いだなぁ」「ワシらが子どもの頃は、この山に登って遊んだんや」と、にこやかに子どもや孫に語りかける楽しそうな姿を見て、私たちはそこにこの企画に取り組んだ成果を感じ取りました。

まちなか写真展1まちなか写真展2

まちなか写真展3まちなか写真展

   ★ 漁師町グルメ

 新年のご挨拶と親睦を兼ねて、地域住民を対象として正月に『マグロのかぶと煮』と『ぜんざい』をふるまい、おもてなし会を行いました。

 今後は、那智勝浦ならではの昔懐かし味『スイカ氷(スイカの形をしたかき氷)』や『まぐろコロッケ』等、食にこだわったおもてなしを観光客の方々にも積極的にアピールしたいと考えています。


4.まちなか散策マップの作成



 地元住民にまちの魅力を再認識してもうと共に、観光客を地域内に誘導するための効果的なツールとして、わずかに残る昭和レトロなまちの魅力を紹介したマップを作成する予定で、今年の夏までの完成を目指しております。


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