プロジェクトの成果


 1. 地域におけるコミュニティの充実

 倶楽部結成の目的である「脇仲地区に往時の賑わいを取り戻し、コミュニティの再生からまちの再生・活性化につなげる」を達成するための協働作業を通じて、従来の日常生活での交流から一歩前進し、地区や世代を超えたコミュニティが生まれました。

 2. マンパワーの再認識

 倶楽部のメンバーが持つ様々な知識や技術・人脈等が、それぞれのプロジェクトの実践にとってかけがえのない推進力となりました。

○地域の様々な団体に太い人脈を持つメンバーは、各団体に対して積極的に連携を呼びかけました。
 地元の漁協にはビン玉収集の協力を、観光協会や旅館組合にはビン玉縄編み体験など各イベントの企画と情報発信を、商工会や県・町にはそれぞれの広報紙を活用した情報発信を協力していただきました。

 特に県職員の人的協力には頭が下がるばかりで、このプロジェクトを通じてその情熱的な取り組みに、とても心強いものを感じました。
 また、脇仲倶楽部設立当時より和歌山大学の准教授や学生とも頻繁に人的交流が図られてまいりました。
 このプロジェクトによって、この地域でも産官民学の協働による新たなまちづくりが始まった事は、とても嬉しく思います。

○マグロ漁に携わる人にとっては朝飯前の縄編み技術。大好評のビン玉縄編み体験は、この人材があるからこそ成功した事業です。その縄編み指導の人材発掘は高齢者の生きがいづくりにつながり、またその技術を継承する事によって、この地域特有の文化を将来に継承するための人材育成にもつながります。

○まちなかライトアップでは、「ビン玉にどうやって穴を開けるか」が最大の課題でした。私たちは様々な専門家に相談する他、先進地でもある三重県志摩市にも視察に行ってきましたが、どれも成功には至りませんでした。
 そんな中、私たちのメンバーでもある漁具店主がダイヤモンドカッター工法を考案。その方法ならほんの3〜5分で綺麗にビン玉に穴を開けられ、また破損してしまうリスクも低く、これが最適な方法である事がわかりました。
 さらに、その漁具店主は持ち前の電工技術力で、乾電池式と100電源式の照明までも考案。最近では部屋のインテリアにしたり、タイマーをセットして家のイルミネーションにする等、町のあちこちで幅広くビン玉行灯を楽しんでいただけるようになりました。

○まちなかコンサート関連では、私たちのメンバーに音楽や音響・照明に熟知した人材がいるおかげで、とても効率よく効果的に実践されています。もちろん、MCも私たちで進めています。

○パソコンに精通したメンバーには、まちなかに貼り出すポスターや回覧板用のチラシの制作にあたってもらいました。

○新聞記者やテレビカメラマン等に太い人脈を持つメンバーからは、積極的にメディアへのアピールを展開。イベント当日だけではなく会議にまで取材にきてもらい、記者の意見も聴きながら、一緒になってまちづくりを考えてまいりました。
 新聞への掲載は昨年だけで30回を超え、またNHK等のテレビでも私たちの特集が3回も放送されました。

 3. 関係者の意識変化

○7月7日に開催した七夕コンサートでのビン玉ライトアップイベントを契機に、脇仲通りの住民の手によって、主体的にビン玉行灯に灯りが灯されるようになりました。

○まちなかコンサートの来場者が次回の演者になったり、またアーティスト情報を知らせてくれる等、まさに地域に密着したアットホームな盛り上がりがみられます。

○町当局も、倶楽部の動きに比例してメディアへの情報発信等の応援をしてくれるようにもなり、ビン玉縄編みを町の体験観光の重要プログラムとして推薦してくれています。

活動の継続化、発展に向けた問題点・課題


 1. プロジェクトの開始にあたって感じた点

 平成19年1月、地域住民が集まって初めてワークショップを実施。以来、和歌山大学の協力も得ながら、10月の設立総会まで8回にわたり懇談会を開きました。まずは地域住民の皆さんの昔話から始めもらい、それらを聴きながら少しずつ構想を練っていきました。

 実は私たちの取り組み、当初は『仲ノ町』という地区のみでの実践の予定でした。しかし区長(現在の脇仲倶楽部会長)から、「『脇入』と『仲ノ町』は一体であるので、両地区合同で取り組んではどうか」との提案があり、それが私たちの団体名として反映され『脇仲倶楽部』となりました。

 その結果、両地区内における住民の参加意識の向上につながりました。もし、あの時に区長の提案がなく、当初のまま仲ノ町だけで進められていたら、脇仲倶楽部は今の状態にまでは発展してなかったかもしれません。
 今後もメンバー相互の対話の中でそれぞれの意見を尊重しつつ、活動を続けたいと思います。

 2. 事業の準備・実施にあたって感じた点

 活動資金や会員の高齢化の関係で、大きな事業の実施が困難な現状から、「できる事からコツコツと。どうせやるなら楽しみながら、身の丈にあった事を着実にこなそう」というコンセプトで取り組んでいます。その結果、メンバーは焦りや義務感におそわれる事もなく、それぞれの事業を楽しみながら取り組んでいます。
 今後もこのコンセプトを変える事なく、また新たに若いメンバーにも参加してもらい、楽しみながらまちづくりに取り組めるムードを創っていく事が大切であると考えています。

 また、縄編み体験事業の実施にあたっては、メンバーがこれまでの人生の中で携わってきた仕事が、地域にとって大きな人的資源でもある事がわかりました。例えば、マグロ船の漁師に欠くことのできない縄編み技術がなければ、ビン玉の縄編み体験講座は開催不可能でしたし、ガラスの球体に対する漁具店の深い考察力による完璧な穴開け工法と照明の考案がなければ、きっとビン玉行灯は誕生しなかったものと思われます。

 3. プロジェクトを振り返って参加者から出された意見や感想

○より多くの観光客に脇仲通りを歩いてもらうための情報提供ツールとして、散策マップが早急に必要。

○地元の旅館・ホテルへ、ビン玉縄編み体験の出前教室の実施。それに伴うビン玉の確保が必要。

○色々な物を包み込む縄編みアートコンテストの開催。

○様々な事業を継続させていくための活動資金の捻出が課題。

○脇仲通りという『線』から始まった活動が町全体に『面』へと広がり、地域経済の活性化への弾みとなる事に期待したい。

○何もかも急いでやらず、ゆっくり確実に活動しよう。


プロジェクトチーム1プロジェクトチーム2


 4. 他の地域で同様の活動を展開する場合の留意点

○ビン玉の穴開け作業は、大変危険を伴います。また、ダイヤモンドカッターは消耗品です。劣化したままでの使用は、ガラスの破損事故の原因ともなります。切れが悪くなったら、早めに交換する事が重要です。また万が一の事を考え、作業は肌の露出の少ない服を着て、ガラス破片の飛散を防ぐガードを設け、かつ団体傷害保険に加入する事もお勧めします。

さいごに


 私たちの今回の調査事業は、自分たちの住む地域は何によって栄え、どうして衰退し、これからどうしていくのかを地域住民に問いかける事から始まりました。そこから出てきた意見の中から実行できる事だけを実施してきました。実行しているうちに、地域の人が持っていたパワーが徐々に発揮されてくる事が実感できました。
 この『半島らしい暮らし・産業創生調査』に参加させていただいたおかげで、私たちは大きく前進する事ができました。一緒に活動してくれる仲間も増えてきました。地域づくりの道標になってくれる仲間もできました。

 地域づくりは、その地域の人が「自分の地域をどう思っているか」「この地域にはどんな資源があるか。あるいは創れるか」「自分たちにできる事は何か。どうしたいか」をじっくり話し合う事が大切だと思います。とにかく「自分たちが楽しむ事」「住んで楽しい地域が一番」「環境や人はもちろん、人のつながりこそが大きな資源」と、この一年の活動を通じて改めて実感しました。これからも確実に一歩ずつ対話しながら、仲間と共に歩んでいきたいと思います。

 日本の平均的な道路ネットワーク整備から大きく立ち後れ、産業や医療・防災・文化・教育など様々な点で不便かつ不利な私たち半島地域において、このような人的ネットワークの確保・充実は、これからの地域づくりを展開するうえで極めて重要な土台となるのではないでしょうか。これからも、地域に存在する『自然・歴史・文化・人・情報』等から新たな資源を再認識・発見・創造し、地域の活性化へとつなげたいと思います。

縄編み脇仲地区

ビン玉



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